今日の出来事 107 「花言葉 2」
花言葉で思い出したんだけど、昔、私が河合楽器で教え始めて、数年経った頃のこと、、、
私はいつも駅前の河合楽器ビルの3F(今はもう、他の会社が入ってるのかなあ?)、の畳にすると2畳分くらいの狭いブースで教えていた。
その、狭いせいなのかは分からないが、私は少しでもレッスンの空きができると、すぐ部屋を出て中央町をぶらぶらしたり、1階のショップに降りて店員さんと雑談するのが常であった。
ある夕方、6時ごろだったろうか? 10分くらい空きができたので、いつものごとく1階に降りたら、閉店前なのに、ある一人のぽっちゃりしたおじさんを、私より7つ上のショップの主任が接客していた。
そのおじさんはアルペジオを軽く弾いていて、私は、
『結構、うまいじゃん! 若い頃からフォークを弾いている人なんだろうな? 主任、今は接客中なんでしょうがない。上に上がろう、、。
』
7時の閉店前にまた1階に降りてみたら、主任が、
「アキラくん、さっきの人誰かわかる?」
「いえ、、?、誰ですか?」
「いやいや、恥をかいたよ 10分くらいあの人が弾いてて、とても上手かったんで、『お客さんギター、うまいですね。』、って声をかけたんだよ。」
「それで?」
「そしたらあの人がね?、こう言ったんだよ!、『ええ、まあ、一応これで食べていってますから、、、』、って、それで俺が、『エッ!どなたなんですか?』、って聞いたら、あの人が照れながら、
『村下孝蔵というものなんですが、、。』、『えー、あの『初恋』、の
』、ってなっちゃって、びっくりしたんだよね?、言われてみれば、今日か明日、文化会館で、村下孝蔵のライブがあるんだよね?
」
「えー、そうなんですかー。すごいじゃないですかー? 俺は村下孝蔵の『初恋』、って曲しか知らないけど、あの人の歌、大好きだったんですよー。
でも、ギターもそんなに上手かったんですかー?」
「うん、悪いけどアキラくんより、ソートー上手かったんだよね。
なんかずっとJAZZっぽいリードギターを弾いてたんだよ。」
「へえー、そうなんですかー、でも、 村下孝蔵がJAZZって意外ですね? さっきアルペジオを弾いてるのは、一瞬、聴いて、うまいな!とは思ったけど、、。
さすがプロですねー。俺ももっと練習しよっと、、、」
それから数年経ってから、彼が病気で亡くなったのをテレビで知った。
主任が言うには、『腰が低く、穏やかで、照れ屋で、優しい感じの人に見えた』、とのこと。
村下孝蔵さんのご冥福をお祈りいたします。