音楽回顧録 10 {初めての合奏}
公民館事件(笑)の後、音楽仲間は皆さすがにコンサートを開く機会は見いだせないでいた。
時々は友達の家に行ったりして、それぞれの持ち曲を弾きあったりしたが、一緒に同じ曲を弾くという感じではなかった。
だんだんプロの曲よりも皆、オリジナル曲が増えていった。カセットテープに録音して、仲間内で回して批評しあったりした。
学校は通常、アコギを持っていくのは禁止だった。音楽教室にガットギターがあって、それを弾くのは許された。昼休みになると、毎日音楽教室に行って弾いた。
その頃は井上陽水の{氷の世界}のイントロが好きで、エレキのパートだがリード(リフ)が少し弾けるようになっていた。リードを弾くと周りのみんなのウケが非常に良かった。
楽譜はなぜかもともと読めたので、音楽の教科書のピアノパートの伴奏など、ギターで弾ける範囲で弾いて楽しんでると、音楽の男性のO先生がたまたま通りがかって、
「アキラ君、スゴイじゃないか!今度、〇〇って曲をピアノに合わせて弾こうよ。練習しといて!」
それからずっと音楽の時間は、いろんな曲を私のギターとO先生のピアノの合奏で皆が歌う、という授業が続いた。
O先生はそのように大らかな人で、アンサンブルや伴奏する楽しさを自然に教えてくれた。