人生回顧録 6「全てを覚えている。」
私が音楽を始めた14歳、中学二年生の冬、どんな気持ちで始めたのだろう?
そう、それは、アコースティックギターの綺麗な音に魅せられて、自分も綺麗な曲を作ってみたい、と強く思ったからだ。
その時の私の学力は絶好調で、一度、流し読みした教科書のページは、全て一字一句漏らさず記憶できたので、万全だった。
数学も、公式を覚えて、それを応用すればいいだけなので、簡単だった。
よって、ほぼ全ての科目で、満点だった。満点でなかったところは、ただ、そのページ、箇所を読んでなかっただけなのだったのだ。
知らないものは、知らない。
当時、成績一番だった同級生から、いきなり私が総合点で80点以上の差をつけ、トップに躍り出た(それまで私は28番から38番くらいだった。)ので、急に私に寄って来られて、
「アキラ、どんな家庭教師をつけたの?、教えてくれないか?」
「はあ?、家庭教師なんてつけてないよ、ちゃんと教科書を読んだだけだよ!」
すると彼は、急に怒って、
「嘘つけ!!」
うん、彼は凡庸な人間だった。
今、思えば、あの時だけ、サヴァン症候群みたいなことが、微小に現れただけだったのかもしれない?、とも思う。
まあ、当時、私は家庭の事情もあって、どちらかというと、少し性格は内向的だったかな?、とは思う。
でも、バレーボール部に所属していたし、健康状態も特に問題はなく、友達も少ないけど数人いたし、普通の真面目な悩み多き青少年であったと思う。
バレーボールにおいては、サーブ・アタックもほぼ、百発百中であったし、レシーブも、どんな遠くでも取りに行って返した。
特にレシーブでは、なんでも返すので、観客から、『どよめき』、が度々起こった。
ただ、学校の帰り道、頭が異常に重くなることが、度々あった。多分、精神的なものからくる、頭重だろう、、。
でも、高校に入学する頃には、その、今までにあったことを全て覚えているという、特異な才能は消えていた。
運動神経も急に鈍ってきた。
その、切り替わりの頃には、『僕は、バカになってしまったのではないか?』、とも思い、一瞬、悩んだが、それは意外とそれほどのストレスではなく、すぐ、『逆に、僕は普通に戻ったんだ』、という安堵感に切り替わって、普通に退屈な高校生活を過ごすこととなった。
もしかすると、ギターを真剣に弾くことで、その異常性が解消されていったのでは?、というような気もする。
まあ、今となれば、私がその『サヴァン症候群』、であったかどうかは疑わしい。そのことで病院にかかったことはないし、、、。
ただ、尋常ではなかったのは確かだった。異常に脳が活性化していた。
その頃は、一年くらいの間に起きたこと、家族・友達とかの些細な身振り手振りまで、全てのことを覚えていたんだから、、、。
それは、今では、ほとんど完全に消えたかのように、思えるのだが、最近のレッスンでも、ごくたまに、顔を出してしまうことがある。
「え~、〇〇くん?、その理論は確か、だいぶ前、君のノートの左ページの下の方に書いてたよね?」
「え~、そうでしたかね?、、、。あ~ほんとだ、このページの、左下ですねえ?
先生、よく覚えてますねえ?」
しかし、よくよく考えてみると、私は、人間の脳って、全て目の前(自分自身)に起こったことを記憶しているもんなのでは?、、、と思う。
ただ、その時々時点で、思い出す必要がないもの、もしくは思い出したくないものを、表層意識に引き出さないだけだと思う。
それを普通の人より、より引き出せる人を、『天才』、とか言ってるだけだと思う、、、。
ああ、また、『音楽を始めるということ、、。』、という本題には行けなかったですね、、。続く、、続けないといけないかも?(笑)、、、。